◎戸蔦別岳から下り、再び川を漕ぎながら登山口へ
南の方を望むと十勝幌尻岳と札内岳が雲もかからないで、すっきり見える(1)。当初、北戸蔦別岳まで足を伸ばそうと考えていたが、夏の花の時期にヌカビラ岳〜北戸蔦岳〜1967峰〜戸蔦別岳〜七っ沼カール(泊)のコースを残しておくことに決め、1856峰分岐を目指して出立。。
それらの展望を目に焼き付け
「おり口」の標識から、はるか眼下に幌尻山荘の屋根が覗く額平川の流れを目指して直線的に落ち込む急な尾根を、目の前に広がる北カールを抱いた幌尻の巨大な山体を眺めながらジグを切って下る(2)。
ハイマツ、潅木、ダケカンバ、針葉樹林と高度を下げるに連れての植生の変化をわずかな時間のうちに感じながらどんどん下る。やがて、沢の音が大きくなり、笹薮が広がり明るくなったところで六の沢出合いに出る。

ガイドブックで数回の徒渉があることは分かっていたが、なんとかなるであろうと、その用意をしてこなかった意地からも、絶対靴は濡らさないと決めて沢に出る。前の人は布製の靴らしくジャブジャブ漕いで行ったようである。何回かは石を伝って通過できたが、何度目かで、足元だけを見てジャンプしたときにオーバーハングしている大きな岩に頭ををしたたかぶつけて転倒。一瞬、「こんな所で倒れたらどうしよう。」と思いながら、痛みが引くのを願い、頭を抱え暫くじっとしていた。幸い、たん瘡は出たが、とくにショックもなくほっとする。次は、靴を脱いで渡るが、滑るし冷たい。その後は、無理やり右岸の薮を漕いで下る。同じことを考えた人がいるらしく、結構人の通った跡がある。最初からそうすれば良かったと思いつつ山荘の前まで来る。ここは嫌でも渡らなくてはならない(3)。再び、靴を脱いで山荘到着。
先に着いていた若い人と話しながら、カレーうどんを作り昼食にする。その人が下りていったところへ、沢登りの格好でもなく、ザックも日帰り程度のスタイルの人が下半身ずぶ濡れにして「こんなに凄いと思わなかった」と言いながら到着する。本州から転勤して来たばかりだとかで、本州の山の感覚で、山荘には食事も寝具もあると思って来たらしい。認識不足も甚だしいと思いながら、「早く山荘に入って、ストーブに火を入れて乾かすよう」に促す。
1時ちょうど山荘を後にし、沢に取り付く。20回ほどの徒渉と渓流歩きを楽しみながら、取水ダムまで到着する。そこに七っ沼カールの見える肩で別れた夫婦が「そろそろ来るころだろうと思って、休みがてら待っていた」とのことである。暫く話しながら休憩する。面倒なので登山靴に履き替えないで地下足袋のまま、足元の深い谷と両側に切り立つ断崖や流れ落ちる滝などの景観を楽しみながら、その夫婦の少し前を黙々と歩き、長い山行の末のゴールイン。
着替えをしていると、その夫婦が「また、どこかの山でお逢いできるといいですね。」と言い、車で先に下って行った。登山口から長い林道を走り、国道に出たら薄暗い4時半であった。泊まっていた45人のほとんどが山荘にもう一泊する訳が分かる。
次の日は台風の影響で天候が望めないので、すぐ帰路に就いてもいいのだが、体力的な余裕もないし、ビールを飲んでゆっくり休みたい。日高沙流川温泉まで走り、まず温泉に入浴する。温泉入浴後、焼肉屋で生ビール2杯とカルビー2人前を食べるが、まだ物足りないので隣の食堂で天丼を食べる。テントを張るのも面倒なので、そのまま駐車場の車の中でダウン。そのまま朝の5時まで10時間近く3日ぶりにぐっすり熟睡する。